基本的人権は、他者の基本的人権について重大な侵害を行なった人であっても、制約がありつつも認められるものだろう。
大切な人の命が奪われたり大切な対象を穢されたとしても報復できない領域として、被害を受けた側には辛さがある。
義務論として、報復によって正義が回復されなければならないという考え方もあるのだろうが、同じ不正義を行なうべきではないし、報復の連鎖を断ち切る必要もある。
不正義を許すべきではないという自然な道徳感情から、応報としての刑罰も正当化されるが、報復・仕返しの単純な欲求は道徳的なものとは言えないだろう。
人権救済について、人によって差異を設けるのでは、政治的になり、平等であるべき基本的人権の擁護からは乖離する。
また、多くの人々や世界全体に目を向けた取り組みを否定すべきでもないが、苦境にある個々の人が救われなければならない。
犯罪の被害者や遺族への支援も重要とのこと。