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亡くなった相手と生きている人との関係では、辛いのなら忘れてしまってもいいよという、亡くなった相手からの思いやりも想像できるが、生きている人の思いやりとしては、忘れてしまったらかわいそうだという思いをなくしたくない。

 

悲しさ・寂しさがぶり返したら、亡くなった相手の幸せの物語に想いを馳せ、自分の幸せにも感謝したい。

 

一方で、日常の楽しさや夢も、生きることそのものとして大切であり、客観的な思いやりの対象としても捉えられるので、否定すべきではない。

 

 

 

利他主義でも、自分のためになるといった効用に基づくのでは、知性を中心に据えた利己主義になり、配慮や気配りではありえても、思いやりとは違うだろう。

 

思いやりはその根底に他者への優しさがあるのであり、知的計算によって自己利益の最終的な最大化を図るものではない。

 

 

機能や作用が明らかとなっても、それに合わせて行動をとるのかどうかということは別のことである。

 

優しさが人間の感情として組み込まれているだけだとしても、それが人間である。

 

組み込まれた感情の中で何を優先するかは、人間の意志に委ねられている。