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英国EU離脱混迷の手続き的な原因は、重要な政策の変更についても単純多数決で決することにあると思われる。

 

 僅かな差で変更することが正しいのなら、僅かな差でまた変更することも正しいことになり、流動的になる。

それが繰り返されないとすれば、正しさより面倒臭さが勝つからだろう。

 

単純多数決が安定的であるためには、頻繁に多数が入れ替わらないことや、自分の投票と違う結果になったとしても諦める人が多いことなども背後的な条件として必要なのだろう。

 

特別多数でどの程度の割合にしたら良いのかは、調整が必要だが、それが不明確だからといって単純多数決が優れているとは言えない。

 

機械の調整のように、制度にも匙加減が必要な部分があり、微妙な見直し・手直しを放棄すると物事が良くならない。

 

特別多数が必要な事項であるかどうかも一義的には決められないが、紛糾や混迷が予想されることについては必要と判断できるだろう。

変更しようとする側が不利になるので、予め良識が共有されていることも必要である。

 

 

また、 国民投票時に提示される情報に誤りがあれば有効性が問題となるのも当たり前であるし、自国第一主義の問題もある。

英連邦が良いもので、理念的にも正しいものなら、EU側が加入すれば良いが、そういうことにはなっていない。

 

 

日本国憲法の改正手続きを考えると、国会での三分の二は多過ぎるのかもしれないが、逆に国民投票での過半数は、重要事項の変更としては数が足りないと思われる。

 

自衛隊や安保条約も事実上長期間存在していることを考慮すれば同じように考えられるが、憲法解釈の正しさは国民投票では決められない。

象徴天皇制についても同じだ。

 

新たに制度・政策を導入する場合でも同じである。

国民の過半数の支持があったとしても、強行は分断を招くおそれもある。

 

与党だけで強引に国政を進めることは社会の安定性を無視するものであり、権力の濫用と考えるべきである。

社会のルールとして正しくないという共通認識が必要である。