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*徴用工・日韓関係・平和主義*

 

政権どうしの対立によって、防衛組織の現場での緊張関係にまでつながってしまうとすれば、とてもゆゆしき事態です。

 

平和主義の下、道義的な観点から、日韓両国が解決策を探る必要があります。

 

遡って考えれば、日本の裁判で救済されるべきでしたし、司法だけでなく、政治的・社会的な救済・対応が図られる必要があったと考えられます。

 

ところで、個人の請求権は、国家間の合意によっては消滅しないという考え方がありますが、それには疑問も感じます。

合意や協定や和解など、関係国には約束を守る責任があります。

代表政府であるなら、その決定に関して国民は無関係では無いはずです。

 自国の決定による不利益については、自国政府の責任を追及するのが筋だと思われます。

 

また、三権分立は、仮にそれが完全に機能したとしても、それは国内原理であり、自国や自国民の利益が優先される結果を他国に主張するのは問題があります。

行政府と司法府による、対外的な二重代表の様相も呈します。

批准のような手続きや、要望を伝えることなどは別として、立法府も加われば三重代表 です。

三権分立といっても、民族主義やナショナリズムが高揚すると、対外的には三権一体に収斂していくのかもしれません。

日本の三権分立にも、統治行為論や司法消極主義に関して疑問符が付きますが、韓国の裁判所で、韓国政府の責任による救済が命じられない状況では、三権分立が正しく機能していないと言えると思います。

 

レーザー照射問題の辺りからエスカレートし続け、深刻です。

大統領が節度を保てず、他国を盗人呼ばわりしてしまうのは、自国民を貶めることでもあります。

 

軋轢が生じたときにこそ平和主義が重要になります。

他国がどうであれ、日本は平和主義が国是であるなら、現実的な処方箋としては、対決的・攻撃的な気持ちを抑制し続けることが国是であると意識する必要があります。

 

政策や対応のもとになった精神状態が、平和主義に反していなかったどうかを問い、平和主義に適った選択をしなければなりません。

 

 平和主義は、利己を否定しませんが、本質的に利他性を伴います。

力による解決を否定する以上、自国の利益だけを考えていては、問題を解決できないからです。

 

自国の不利益は全く受け容れない、国益に反することを全く受け容れないというのは、平和主義に反する考え方であることを認識する必要があります。

 

目先の経済的利益や面子よりも、平和であることに価値があり、国益なのです。

 

 

 さて、働いた人が支払いを受けるのは当たり前ですし、損害賠償に関しても平等な扱いが必要です。

基本的には、支払い義務があった企業が支払いを免れるのは、おかしいと考えられます。

その企業が継続しているのであれば、時効や国家間の合意を盾に支払いを拒むよりは、支払いに応じたほうが企業の信用やイメージは良くなると考えられます。

株主が、単純な損得勘定だけで判断すべき時代でもないでしょう。

 

そして、外国人労働者受け入れを進めている時勢にあって、外国人への誠意ある対応は、国としても企業としてもプラス評価となります。 

 

国が国民の利益を守る必要があるとしても、私人の債務帳消しを擁護することに、国としてこだわる必要はないと考えることもできます。

 ただ、国策との関係で国にも責任があったのであれば、それも考慮される必要があります。

その辺りは、対処が難しい面がありながらも、解決の糸口になるとも考えられます。

 

日韓両国で、思いやりの心が共有され、それが実現されるように知性が用いられることを望みます。